2021年10月の参道掲示板

 参道掲示板に十月の「ことば」を掲示しました。ご参拝の折にご覧ください。画像は、yahooとgoogleで公開しております。それぞれ、「田辺市␣願成寺」と検索して頂くと、トップに表示されますので、是非ご覧ください。

十月のことば 「コツコツ つづければ 実を むすぶ」

 以前、私が参加した書道の講習会でこういう出来事がありました。受講生が先生に対して、「書道が上達するコツは何ですか」と聞いたところ、先生は一言、「コツコツがコツ」とお答えになりました。参加者一同、大笑いという出来事でしたが、この言葉、単なるギャグではなく、長年書道の修練を続けてきた先生がおっしゃっただけに、深いものを感じたのです。

 現代という時代は、スピード感が重視される時代だと思います。例えば、何かわからない言葉があった場合、さっとスマホを取り出して、詳しい言葉の説明は横に置いといて、おおよその意味がわかれば、スマホをポケットにさっとしまう。時間にして30秒以下でしょうか、これが現代のスピード感だと思います。別の見方をすれば、手間暇かかることというのは、敬遠される傾向があるように思います。スマホが現代社会にここまで浸透した理由は、このスピード感にあるのでしょう。

これは時代の流れなので、良い悪いではなく、ある程度は合わせていくしかないでしょうが、忘れてはいけないのは、手間暇=無駄ではないということです。

 何かを成し遂げようとした時(大層なことでなくても、例えばダイエットなど身近なことでも)、スマホのスピード感ではなかなかことは進みませんね。手間暇かかるのですよ。そんな時、「どうせ私は何をやっても…」なんて思う必要はないのです。結局のところ、「コツコツつづける」ことでしか、結果はでないのですから。

人間はスマホじゃない。人間は骨々(コツコツ)でできているんだ!

私も、ギャグを言ってみたくなりました。失礼しました。

2021年9月の参道掲示板

 

 参道掲示板に九月の「ことば」を掲示しました。ご参拝の折にご覧ください。画像は、yahooとgoogleで公開しております。それぞれ、「田辺市␣願成寺」と検索して頂くと、トップに表示されますので、是非ご覧ください。

九月のことば 「赤は赤 黄は黄のままに とりかえられぬ 尊さを 咲く」

 いきなりですが、今月は、少し仏教の話をしましょう。(お寺の掲示板なので、仏教の話は当然か…? たまには、願成寺の掲示板でも少しだけ硬めの仏教の話もします。)

 仏教の経典の中に、「仏説阿弥陀経」という経典があります。浄土宗系統では、根本経典といってとても大切にされている経典です。この経典では、阿弥陀仏の国、即ち極楽浄土のあり様が書かれています。当然、極楽は素晴らしい所だということが書かれているのですが、その一節にこのような記述があります。

「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」

 極楽浄土では、「青いものは青く光り、黄色いものは黄色く…なんて素晴らしい所だ」となるわけです。ここで、「ん?」となりませんか。だって、「青いものが青く光るって、当たり前じゃん」って思う方も多いでしょう。確かにその通りなんですが、青いものが青く光るって、本当に当たり前のことですか?

 極楽ではなく、現実世界で考えてみましょう。現実世界でも、赤い花は赤いですし、黄色い花は黄色いです。それは当たり前のことです。では、ここで、花を人間に置き換えて考えてみましょう。われわれ人間には、それぞれの色、即ち個性=キャラクター(キャラ)というものがあります。自分のキャラ通りの自分を生きていますか?こう聞かれると私は、「うーん」と考え込んでしまいます。

 はっきり言って、自分のキャラ通りの自分を生きるというのは、大変なことだと思います。どうしても、周りの目が気になりますし、周囲にどう思われているのかも気になってしまいます。その結果、自分の本当のキャラとは別に、「周囲が自分に求めているキャラ」を無理して演じている自分がいることに気が付くかもしれません。大人の社会でいうところの「世間体」というのも同じことですね。

 現実社会では、「周囲の目」も「世間体」も一切気にしないで生きるというのは、難しいことかもしれませんが、一つ忘れてはいけないことがあります。それは、本来自分が持っている色=個性=キャラというのは、他の色とは取り替えることができない程に尊いものだということです。

 世渡りをする上で、自分の色を周囲の色に合わせることもあるでしょうが、根本的な自分の色まで変えようと苦しむことはないのです。

今から約2500年前に起こった仏教の経典にも、「青色青光…」とあるように、青色は青く光るのが一番美しいのだと思います。野の花がそうであるように、自分の色で咲くことが尊いことなのだと思いますよ。