2022年2月の参道掲示板

参道掲示板に二月の「ことば」を掲示しました。ご参拝の折にご覧ください。画像は、yahooとgoogleで公開しております。それぞれ、「田辺市␣願成寺」と検索して頂くと、トップに表示されますので、是非ご覧ください。

二月のことば 「まわり道 したから 見れた 花もある」

 最近ふと思ったのですが、平均寿命から考えると今の私の年齢が丁度、人生折り返しなんですね。今までの自分の人生は、住職という今の立場から考えると、それなりに「まわり道」してきたのかなと思います。

まわり道せずに、一本道で住職を目指すなら、大学の仏教系学部に入学し、卒業後そのまま本山で修行というコースになります。しかし、私は次男坊ということもあり、大学では経済学部で、卒業後はサラリーマンを10年近く経験しました。そういう意味では、住職としては、まわり道が長かったと思います。

 最近の若者はよく、「コスパ」という言葉を使いますね。コストパフォーマンス、つまりは、費用対効果のことであり、より少ない労力・コストで最大限の効果を得ることですね。人生に例えるならば、自分の目標に最短距離で到達する、そういう生き方でしょうか。それはそれで、無駄のない生き方で、潔いと思いますが、全員がそういう生き方をできるわけではありませんよね。

 今はコロナ禍で、例えば、学校の授業がオンラインになったり、学校行事が削減されたりしていると思います。テレビのコメンテーターのなかには、「オンライン授業の方が効率がよい」とか「これを機に、無駄な学校行事を減らすべき…」とおっしゃる方もいますが、本当にそうでしょうか?確かに、受験に合格するという目標に対しては、わざわざ学校に通学して、友達と喧嘩したり、恋愛したり失恋したりという行為は、「まわり道」以外の何物でもないでしょうね。でも、10年後、20年後に記憶に鮮明に残っているのは、意外に「まわり道」したことばかりかもしれませんよ。

 私は個人的には、コスパの良い人生よりも、「まわり道」の多い人生をお勧めします。住職とサラリーマン、全く違う職種のようですが、意外とサラリーマン時代の経験に助けられることも多いのですよ。人生、「まわり道」に助けられることもしばしばかもしれません。また、「まわり道」をすると、思いがけない拾い物をするかもしれませんよ。私の場合、サラリーマン時代に会社の同僚と結婚し…(奥様を拾い物呼ばわりしてはいけません)。

 「まわり道」だろうが「寄り道」だろうが、色々経験すると、人生どこでその経験が役に立つかわかりません。だから、「まわり道した。損した。」と思わず、「まわり道したけど、きれいな花が見れたから、まあ、いいか」くらいの気持ちでいた方が楽ですよ。